ETFとは何でしょうか。本記事ではETFについて投資信託との違いやおすすめのETF、結局ETFと投資信託のどちらを買えば良いのかについて解説いたします。
ETFとは
ETF (Exchange Traded Fund )とは、証券取引所に上場し、株価指数などに代表される指標への連動を目指す投資信託のことです。
具体的なETFとしては、米国株の指数S&P 500に連動したSPYや米国のハイテク株の指数NASDAQ100に連動したQQQなどが挙げられます。
一般的にはETFは複数の会社の個別株によって構成されているため、一つのETFを購入することによって実質的に複数の会社の株に分散投資することができます。また、株だけではなく債権や、ゴールドや銀、石油などのコモディティの価格に連動したETFもございます。
またETFには信託報酬と呼ばれるETFを運用するために必要な費用があります。信託報酬は毎年、運用額に対して一定の割合で自動で徴収されます。
またETFを用いた投資方法にインデックス投資という一つの手法がありま す。詳しく知りたい方は下記の記事をご覧くださいませ。
ETFと投資信託の違い
ETFと投資信託の違いは主に上場しているかどうかです。投資信託は非上場なのに対して、ETFは証券取引所に上場しているためリアルタイムで価格が変動します。また米国のETFの場合は、構成銘柄が同じ日本国内の投資信託に比べて信託報酬(経費率:Expense ratio)が安いという特徴もあります。
投資信託 | ETF | |
---|---|---|
上場可否 | 非上場 | 上場 |
価格変動 | 1日に1回 | リアルタイム |
信託報酬 | 割安 | 割高 |
投資信託についての詳細は下記の記事をご覧くださいませ。
ETFの人気ランキング
世界的に人気な海外ETFのランキングは下記の表の通りです(時価総額・運用額順)。また米国ETFはシンボルと呼ばれるアルファベットの文字列で表記されることが多いです。
世界の投資家から見てもやはりGAFAMが在籍する米国は最強と評価されており、富が米国に集中しております。
順位 | シンボル | 運用額($) | 経費率 | 投資対象 |
---|---|---|---|---|
1 | SPY | 353,479,000 | 0.0945% | 米国株 |
2 | IVV | 285,474,000 | 0.03% | 米国株 |
3 | VOO | 258,367,000 | 0.03% | 米国株 |
4 | VTI | 256,768,000 | 0.03% | 米国株 |
5 | QQQ | 143,493,000 | 0.2% | 米国ハイテク株 |
6 | VEA | 99,576,900 | 0.05% | 先進国(米国除く) |
7 | VTV | 98,394,900 | 0.04% | 米国バリュー株 |
8 | IEFA | 88,282,400 | 0.07% | 先進国(米国除く) |
9 | BND | 84,734,900 | 0.03% | 債権市場 |
10 | AGG | 82,505,500 | 0.04% | 債権市場 |
新NISAの成長投資枠では上記のようなETFに対して税金ゼロで投資することができます。詳しく知りたい方は下記の記事をご覧くださいませ。
積立するのにおすすめなETFは?
世界には8553個ものETFが存在する中で結局どのETFに投資すれば良いのでしょうか。下記にて、筆者がおすすめするETFをご紹介します。
結論から言うと下記の2つのETFをおすすめします。
第2位 VT
VTIとは
VTIとは米国の資産運用会社「バンガード社」が提供するETFで、米国株式市場全体に投資する商品です。
VTI の組入銘柄
VTIは、約4,000銘柄(2023年1月時点)の米国株式で構成されています。組み入れ上位銘柄は以下のとおりです。
銘柄 | 比率 |
---|---|
アップル(Apple Inc) | 6.04% |
マイクロソフト(Microsoft Corp) | 4.46% |
アルファベット(Alphabet Inc)※Googleの親会社 | 2.74% |
アマゾン(Amazon.com Inc) | 2.29% |
テスラ(Tesla Inc) | 1.56% |
ユナイテッド・ヘルス(UnitedHealth Group Inc) | 1.34% |
バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway Inc Class B) | 1.28% |
エクソンモービル(Exxon Mobil Corporation) | 1.19% |
ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson) | 1.18% |
VTIのセクター割合
またVTIの構成銘柄のセクター(業種)比率は、以下のとおりです。QQQのようにハイテク株だけではなく、ヘルスケアや一般消費財、金融株、エネルギー株など多種多様な業種が含んだまさにアメリカ経済がまるっとそのまま反映されたETFとなっています。
セクター(業種) | 比率 |
---|---|
情報技術 | 23.9% |
ヘルスケア | 14.4% |
一般消費財 | 14.3% |
資本財 | 13.2% |
金融 | 11.8% |
生活必需品 | 5.8% |
エネルギー | 5.5% |
不動産 | 3.3% |
公共事業 | 3.3% |
通信 | 2.4% |
素材 | 2.1% |
SPY(s&p500)やVOO、IVVと比べてなぜVTI?
他にもs&p 500に連動するETFとしてSPYやVOO,IVVなどが挙げられる中なぜVTIなのでしょうか。理由は2点あり、まず1点目は経費率(Expense ratio)の安さです。インデックス投資は長期保有が前提ですから、一度ETFを買ったら20年も30年も保有する覚悟が購入しなければなりません。その際に重要になるのが経費率です。VTIの経費率は0.03%と米国ETFの中で最安値であり長期保有に向いています。
また理由の2点目としては、VTIの銘柄数が4000社と多いことです。SPYやVOO、IVVはs&p500に連動しているため、アメリカの大手500社の株価しか反映されていません。対してVTIは大手から中小企業、グロース株からバリュー株までを含みかなりバランスの取れたETFを言えるでしょうか。
ただし実際の株価の推移に関しては、下記の画像のようにVTIもSPYもVOOもIVVもほぼ同じように推移していますので、絶対にVTIでなければいけないわけでもありません。個人的には経費率が0.0945%もあるSPYは除外して、残りのVTI、VOO、IVVの3つだったら正直どれでも問題ないと思います。
VTIには配当もある
VTIには金融株やエネルギー株などのバリュー株も含まれているため、毎年4回配当が出ます。その配当金の平均利回りは約1.3%~1.5%ほどです。 こちらの配当金は権利確定日時点でETFを保有していると、米ドルで勝手に証券会社に入金されます。(もちろん米国での税金が引かれた後にですが)
VTとは
VTとはアメリカの資産運用会社・バンガード社が提供するETFで、「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」の略称です。VTひとつを保有するだけでを新興国を含む世界47カ国の株式に投資ができます。
またVTのベンチマークのFTSE®オール・ワールド・インデックスは、全世界の投資可能な市場時価総額の90%以上をカバーし、約8,000銘柄で構成されています。
VTの欠点は経費率がVTIと比べた時に0.07%と高いことです。VTを持つだけでマーケットポートフォリオをつくることは魅力的ですが、VTの構成銘柄のうち約63%が米国で構成されているため、価格の推移もVTIに近いものになります。リターンがほぼ同じなら、経費率が安いものの方が良いですから本記事では第2位としております。
実は理論的にはVTへの投資が最も合理的であると考えられています。理論について詳しく知りかたは下記の記事をご覧くださいませ。
ETF の買い方・始め方
ETFは米国の個別株と同様に各証券会社の画面から、ドル建て又は円建てで購入することができます。下記より、実際の証券会社の画面を掲載しつつ、ETFの買い方に関してご紹介します。
ETFを購入する際は円建て?ドル建て?
筆者は基本的にはドル建て(外貨決済)でのETFの買い付けをおすすめします。理由は2点あります。
1点目は円建てで購入すると、為替手数料が高いからです。 2点目は円建てで購入するとそのタイミングの為替レートでドルの買い付けが行われるからです。できれば日本円→米ドルの変換はドル安の時に済ませておきたいため、手間はかかりますがドル建て(外貨決済)でのETFの買い付けをおすすめします。
ETFにおすすめの証券会社
ETF購入におすすめの証券会社は、下記の通りです。
SBI証券を第一位にした理由は、日本円を米ドルに変えるための為替手数料が住信SBIネット銀行だと一番安いからです。(楽天銀行と比べた時に)
下記、住信SBIネット銀行と楽天銀行の為替コストの比較です。訳4倍の違いがあります。
住信SBIネット銀行 | 楽天銀行 | |
---|---|---|
為替コスト(1 USDあたり) | 0.06円 | 0.25 |
僅かな違いに見えるかもしれませんが、塵も積もれば山となります。インデックス投資ではリターンはせいぜい市場平均となるため、周りと差をつけるにはこういった無駄なコストを削減することが重要と考えております。
SBI証券でのETFの買い方
SBI証券にログイン後、『海外株式・海外ETF』の欄をクリックします。
『外国株式取引サイトへ』をクリック(その後別ページに遷移します)
次にVTIと検索します。
バンガードトータルストックマーケットETFを選択します。
赤字の『現買』ボタンを押します。
指値 or 成行 と 外貨決済 or 円貨決済を選択して購入します。以上です。
楽天証券でのETFの買い方
楽天証券にログイン後、『外国株式 米国株・海外ETF』の欄をクリックします。
米国株式・ETFの買い注文ボタンを押します。
次にVTIと検索します。
指値 or 成行 と 外貨決済 or 円貨決済を選択して購入します。以上です。
結局ETFと投資信託のどっちを買えば良いの?
結局のところ、ETFと投資信託のどちらを変えばいいのでしょうか。結論から申し上げますと、まずはつみたてNISAの枠で投資信託を最大限買って、その次にETFを買うのがベストだと考えます。 以下、優先順位順に並べてみました。
上記の優先順位になる理由は、つみたてNISAによる節税メリットがかなり大きいからです。ETFは投資信託と比べて信託報酬が割安だったり、リアルタイムで個別株のように購入することができるといった利点がありますが、それよりもつみたてNISAの節税メリットが上回っています。
よって、つみたてNISAの枠を全て使い切ってしまった人は、ETFの購入も検討しても良いと考えています。 筆者もつみたてNISAにて毎月上限額MAXで投資信託を購入しつつ、残りの額は全てETF(主にVTI)で運用しております。
つみたてNISAについて詳しく知りたい方は下記の記事をご覧くださいませ。
まとめ
以上、本記事をまとめますと下記になります。
なおETFや投資信託を通して指数全体に投資することをインデックス投資といいます。インデックス投資の理論や基礎について勉強されたい方は下記の記事をご覧くださいませ。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。本記事が投資を勉強する上で、参考になりましたら望外の喜びでございます。ブックマークへの追加やTwitterやネットでの拡散も大歓迎です。
引き続き何卒宜しくお願い致します。